* 第一章 待合室の憂鬱**
僕、佐藤亮太は、ここ半年ほど肩こりと不眠に悩まされていた。整体やマッサージ、睡眠薬まで試したが、根本的な改善には至らない。そんなある日、同僚が「すごく効く病院がある」と教えてくれたのが、この「聖マリアンナお尻ペンペン総合病院」だった。
名前からして怪しい。だが、藁にもすがる思いで初診を受けたところ、医師から「あなたの肩こりと不眠は、お尻の血流が滞っていることが原因です。お尻ペンペン療法で改善します」と説明された。お尻ペンペン療法――すなわち、看護師の温かい平手でお尻を叩くことで血行を促進し、自然治癒力を高めるという、保険適用外の自由診療である。半信半疑だったが、三ヶ月通った結果、確かに体調は良くなっている。ただし、その代償として毎回泣き叫ぶほどの羞恥と痛みに耐えなければならないのだ。
今日は四週間ぶりの通院日。待合室には同じようにお尻ペンペン治療を受ける患者が数人、不安そうに座っている。子供から大人まで、みんな一様に神妙な顔だ。やがて診察室のドアが開き、白衣を着た若いナースが顔を出した。
「佐藤さーん、お待たせしました。今日もお尻ペンペンしていきますねー」
その柔らかな声に、僕は心臓が跳ねるのを感じた。早乙女さんというこのナースは、いつも笑顔で、まるで幼稚園の先生のようだ。年齢はおそらく二十五歳前後、ふんわりとした印象の美人で、白衣の下から覗く太ももが柔らかそうだ。僕は立ち上がり、彼女の後について診察室に入る。
**第二章 ナースのお膝の上**
診察室の中には、診察台の代わりに、幅の広いクッション性の高いソファが置かれている。早乙女さんは僕をソファに座らせ、隣に腰を下ろした。
「では、今日もお尻ペンペンしていきますねー。ズボンと下着を下ろしてくださいね」
僕は喉を鳴らしてうなずくと、おずおずとベルトに手をかけた。ズボンを下ろし、続いて下着に手をかける。早乙女さんの視線が、僕の手元に注がれているのを感じる。僕は意を決して、下着を膝まで下ろした。瞬間、冷たい空気がお尻に触れ、羞恥で顔が火照る。
「はい、よくできました。では、こちらにお膝にうつ伏せに載ってくださいね」
早乙女さんは自分の膝をポンポンと叩いた。僕は言われるまま、彼女の太ももの上にうつ伏せになる。柔らかい太ももの感触が腹と胸に伝わり、妙に安心感がある。お尻はちょうど彼女の右側に突き出る形になった。
「お尻楽にしてくださいねー」
早乙女さんはそう言いながら、僕のお尻をマッサージするように撫で始めた。温かな掌が、お尻の丸みをゆっくりと滑る。その感触に、僕は思わず体を震わせた。
「力が入ってますよー。ふふ、でも、今日もお尻きれいですよ。ちゃんとお手入れしてますね」
彼女の言葉に、僕はさらに顔が熱くなるのを感じた。羞恥と、それとは別の妙な心地よさが混ざり合う。
* 第三章 痛い痛いの嵐**
「では、始めますね」
早乙女さんが少し体を起こし、右腕を高く上げるのが見えた。次の瞬間――パァン!という鋭い音とともに、僕のお尻に激痛が走った。
「ひぃっ!」
僕は思わず悲鳴を上げた。早乙女さんの平手打ちは、体重が乗っていて、とても女性の力とは思えない。
「はーい、お尻痛い痛いですねー、頑張ってくださいねー」
彼女の優しい声が、痛みの中に響く。しかし、その声とは裏腹に、彼女の掌は容赦なく僕のお尻を打ち据える。パァン!パァン!パァン!という小気味よい音が診察室に響き渡る。

「ああっ!いたい!いたいです!」
僕は叫んだ。お尻が燃えるように熱くなり、痛みで目の前がチカチカする。涙が勝手に溢れてくる。
「泣かないでくださいねー。お尻ペンペンは、血流を良くして、悪いものを追い出すんですよー。さあ、もう少しですからねー」
早乙女さんはそう言いながら、右のお尻たぶ、左のお尻たぶ、太ももの付け根と、満遍なく叩いていく。時折、お尻の一番突き出た部分を重点的に叩かれると、痛みが脳天まで突き抜ける。
バチィン! バチィン! パァンッ!
「うぅっ…あぁっ…!」 「はーい、お尻真っ赤になってきましたよー。もう少しで治療終わりますからねー。頑張ってくださいねー」
彼女の励ましは、まるで幼い子供をあやすようだ。僕は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら、必死にソファのクッションを握りしめた。お尻が痛い。熱い。もう限界だ。
**第四章 治療を終えて**
どれくらいの時間が経っただろう。数え切れないほどの平手打ちを受けた後、ようやく早乙女さんの手が止まった。
「はい、今日のお尻ペンペン、終わりましたよー。よく頑張りましたねー」
早乙女さんはそう言うと、僕のお尻を優しく撫でてくれた。叩かれて火照ったお尻に、彼女の掌がひんやりと気持ちいい。
「ゆっくり起き上がってくださいね」
僕は震える足で、彼女の膝から降りる。お尻はジンジンと痛み、立っているのもやっとだ。早乙女さんは冷たいタオルでお尻を拭いてくれ、それから鎮静作用のある軟膏を塗ってくれた。
「はーい、今日もいいお尻ペンペンができましたよ。これで肩こりも不眠もよくなりますよ。また来週、お待ちしてますねー」
僕は「ありがとうございました」と消え入りそうな声で言い、診察室を後にした。お尻はまだ痛いが、不思議と体は軽く、頭もすっきりしている。これだから、この病院には通い続けてしまうのだ。
次回の予約を入れながら、僕は思った。やはり、早乙女さんの膝の上で、あの温かい掌に叩かれるのが、僕の密かな楽しみになっているのかもしれない、と。